1973年。AI河南病院、西病棟204号室。
私たちは、生きている千鶴さんと出会った。
未来――1977年の河南病院で出会った白い人。その正体が千鶴さんだとすれば、彼女は1974年に亡くなることになる。
しかも千鶴さんには、1974年1月18日 午前2時という、不自然な時間の手術が予定されていた。
未来の千鶴さんが残した言葉――「私の手術じゃなかった。」
あの言葉の意味はまだ分からない。でも、このまま何もしなければ彼女は亡くなってしまう。私たちは、歴史の中で慎重に動き始めた。
1974年1月18日 午前2時の不自然な手術。千鶴さんを救うため前夜に病院から連れ出す作戦を決行したヒトナと両みちる。脱出には成功したものの、直後に高校生みちるが忽然と姿を消し、存在しないはずの制服姿の少女が現れる――。
1973年。AI河南病院、西病棟204号室。
私たちは、生きている千鶴さんと出会った。
未来――1977年の河南病院で出会った白い人。その正体が千鶴さんだとすれば、彼女は1974年に亡くなることになる。
しかも千鶴さんには、1974年1月18日 午前2時という、不自然な時間の手術が予定されていた。
未来の千鶴さんが残した言葉――「私の手術じゃなかった。」
あの言葉の意味はまだ分からない。でも、このまま何もしなければ彼女は亡くなってしまう。私たちは、歴史の中で慎重に動き始めた。
まず必要なのは情報だった。千鶴さんは、なぜ入院しているのか。なぜ手術が必要なのか。本人にも詳しい説明がされていない。
ならば、お父さんは何か知っているかもしれない。しばらく204号室で待っていると、仕事を終えたお父さんが、花束を持って病室へやって来た。
怪しい。非常に怪しい。
ヒトナさんは、まず入院した時期を聞いた。「千鶴さん、いつから入院してるの?」
千鶴さんは少し考えて答えた。1973年11月6日。まだ入院してそれほど長くはない。
その少し前から、めまい、身体に力が入らない、そして学校で一度倒れた。心配したお父さんが河南病院へ連れてきた。最初は「数日間の検査入院」だったという。
ところが――検査が終わっても退院できず、突然「手術が必要です」と告げられた。
病名も分からない。何の手術なのかも分からない。なのに、手術日時だけは決まっている。1974年1月18日 午前2時。やはり、おかしい。
その頃、現在みちると高校生みちるはお父さんから話を聞いていた。
ところが返ってきた答えは予想外だった。「私にも、はっきりした病名は説明されていないんです。」
医師からは「このままでは危険なので手術が必要です」と言われ、深夜2時という異常な時間について尋ねても、医師は「その日時でなければ、この処置はできません」と答えたという。
もう一つの病院で診てもらった方がいい。私たちはそう考え始めた。
最初、1974年1月18日の手術当日に乗り込もうと考えていた。でもヒトナさんが言った。「千鶴さんの手術をできなくすればいいじゃん!」
確かに。河南病院の手術室へ乗り込む必要なんてない。手術前に千鶴さんが河南病院からいなくなればいい。そして別の病院で診察を受ける。
決行日は、1974年1月17日。手術前日。
時間を移動した。千鶴さんはまだ204号室にいた。あと約8時間後、午前2時に手術が始まる。
そこで高校生みちるが自分の学生服を千鶴さんへ貸し、高校生みちるは持参の普段着へ着替えることにした。
現在みちるは廊下へ出て看護師が見張りに来ないか確認する。
久しぶりに着る学生服に、千鶴さんは少しだけ笑った。二段階に分かれて病院を出る。第一陣はヒトナさんと千鶴さん。第二陣は現在みちると高校生みちる。
病室を出る。廊下、ナースステーション、階段、玄関。止められない。声も掛けられない。
1974年1月17日 午後6時25分。千鶴さんは河南病院の外へ出た。「外の空気……久しぶりです」
ここまで成功。あとは両みちるが出てくるのを待つだけ……のはずだった。
ところが、現在みちるだけが外へ出てきた。
高校生みちるは、まだ病院の中。現在みちるは河南病院へ走って戻った。
204号室、廊下、待合室、階段……どこにもいない。ナースステーションで尋ねると、看護師はこう答えた。
「高校生くらいの子なら、さっき廊下を歩いていましたよ。制服を着た女の子だったと思いますけど。昭和棟の方へ行きました。」
制服は一着しかなく、千鶴さんが着て外へ出たはず。では、看護師が見た制服姿の女の子は一体誰なのか――。
千鶴さんを本来亡くなるはずだった河南病院から連れ出した瞬間、高校生みちるが消えた。これは歴史を変えようとしたことで発生した「歴史のノイズ」なのか。
現在みちるは一人、照明の少ない昭和棟の奥へと走る。
時間は少しずつ、本来千鶴さんに「処置」が行われるはずだった1974年1月18日 午前2時へと近づいている。千鶴さんがいなくなった今、病院は誰を必要としているのか――。
1974年1月17日の夜。河南病院で、何かが動き始めた。
制服姿の影を追って、みちるの過去と未来が交錯する――次回へつづく。1970年代の河南病院を舞台に繰り広げられる「千鶴」救出と時空の謎。写真キャプションやアンカーリンク(#photo-01〜#photo-10)を通じて、召喚アルバムとも完全連動しています。