――患者No.037、調査開始。
前回。
夏祭りを楽しんだ私たちは、その勢いのままAIが作った「河南病院」へ向かった。
そこで見つけた、一冊の古いカルテ。
河南病院 診療記録 No.037
軽い気持ちで持ち帰った。
そして、みちるの部屋に置いた直後――
電話が鳴った。
「カ・ル・テ・を・返・し・て……」
どうやら、持って帰ってはいけないものを持って帰ってしまったらしい。
ならば仕方ない。
今日は三人で、カルテを返しに行く。
……ただ、それだけのはずだった。
前回持ち帰ってしまったカルテNo.037を返しに来たはずが、たどり着いたのは1977年の営業中の病院!?生きている患者No.037と出会い、謎が深まっていく。
――患者No.037、調査開始。
前回。
夏祭りを楽しんだ私たちは、その勢いのままAIが作った「河南病院」へ向かった。
そこで見つけた、一冊の古いカルテ。
河南病院 診療記録 No.037
軽い気持ちで持ち帰った。
そして、みちるの部屋に置いた直後――
電話が鳴った。
「カ・ル・テ・を・返・し・て……」
どうやら、持って帰ってはいけないものを持って帰ってしまったらしい。
ならば仕方ない。
今日は三人で、カルテを返しに行く。
……ただ、それだけのはずだった。
翌日。現在のみちる、高校生のみちる、そしてヒトナさん。三人で準備を整えた。
懐中電灯、スマートフォン、救急用品。そしてもちろん――No.037のカルテ。
特に気をつけなければいけないのは、高校生のみちる。彼女は過去から来た「私」。
もし彼女が大きな怪我をしたら、それが現在の私に何らかの影響を与える可能性だってある。もちろん、AI世界なので何が起きるかは分からない。だから今回は、安全第一。
……だったのだけど。
気がついたら、もう河南病院の前にいた。
「準備してから行こう」と言ったのに。
AI、移動を省略しました。
なんだろう。昨日と雰囲気が違う。
昨日の河南病院は、荒れ果てた廃病院だった。窓は壊れ、壁は汚れ、建物全体が長い時間放置されているように見えた。
ところが今日の河南病院は――
普通に病院として営業している。
とりあえず中へ入ってみることにした。
受付には職員がいた。人もいる。車椅子もある。病院として普通に機能している。
昨日の廃病院とは明らかに違う。そこで私は受付の人に、少し変な質問をしてみた。
「すみません……今って、何年ですか?」
受付の人は不思議そうな顔をした。そして――
1977年。昭和52年。
……。
どうやら私たちは、河南病院へカルテを返しに来たはずが、廃墟になる前の河南病院へ来てしまったらしい。
ならば。もう一つ聞いてみる。
「患者No.037について、何か分かりますか?」
すると受付の人から、思いがけない答えが返ってきた。
「その患者さんなら、現在入院されていますよ。」
……生きている。
未来の廃病院で見つけたカルテの本人が、この時代にはまだ生きている。
教えてもらった病室へ向かった。
扉には、037の表示。未来から持ってきたカルテと同じ番号。
私たちは扉の前に立った。そして――
コン、コン、コン。
しばらくすると、中から声が聞こえた。
「……どうぞ。」
いる。本当にいる。私たちは、ゆっくり扉を開けた。
病室の奥には、一人の患者さんがいた。未来のカルテでしか知らなかった人物。その本人が、今、目の前にいる。
ただし、いきなり「未来からあなたのカルテを持ってきました」なんて言えるわけがない。そこで私は、できるだけ普通に話しかけることにした。
「突然すみません。少しだけ、お話を聞いてもいいですか?」
高校生のみちるは横で話を聞く。私はノートを出した。
名前、入院した時期、入院理由、手術の予定。未来のカルテに書かれている情報と照合できるものがないか、少しずつ聞いていく。
……なんだか私、完全に取材記者みたいになっていた。
一方その頃。ヒトナさんは――
傍観モード。
そして気がつけば、寝ていた。
こんな状況でよく寝られるなぁ。そう思った、そのときだった。
ヒトナさんが目を覚ました。そして――固まった。
昨日。廃墟になった河南病院で、私の腕を組んできた、あの白い人。
同じ姿。でも、おかしい。ここは1977年。昨日私たちが出会ったのは、ずっと未来の廃墟になった河南病院。それなのに――
この時代にもいる。
もし同じ存在なら、廃墟になってから現れたわけではない。もっと昔から、この河南病院にいたことになる。
そして、もう一つ気になった。白い人は、私たちを襲っていない。昨日も私の腕を組んだだけ。もしかすると、怖がらせようとしているのではなく――
何かを伝えようとしている?
そこでヒトナさんが言った。「高校生のみちる、話しかけてみて。」
理由があった。高校生のみちるも、過去から現在へやってきた存在。時間を越えてここにいるという意味では、この白い人と何か通じるものがあるかもしれない。
そして、ゆっくり聞いた。
「あなたは……生きている人?」
さらに、「037号室のあの人を知ってる?」
白い人は、すぐには答えなかった。ただ、037号室の方を見た。
高校生のみちるは、さらに質問した。
「あなたは、この病院に入院しているの?」
「昔、ここにいたの?」
「037の人とは、どういう関係なの?」
そして――「私たちに、何をしてほしいの?」
白い人は、しばらく黙っていた。やがて、ほんの小さな声で答えた。
「……父。」
高校生みちるが、こちらを振り返る。
「この人……037さんのことを――『お父さん』って言った。」
…………。
つまり、この白い人は、患者No.037の娘なのか?
でも。もしそうなら――
なぜ娘が、この時代ですでに“白い人”としてここにいる?
そして、なぜ何十年も先の廃墟になった河南病院にも現れた?未来の病院で、なぜ私たちの前に姿を見せた?なぜカルテNo.037を持ち帰ったあと、電話が鳴った?
そもそも――私たちは本当に、カルテを返すためだけにこの時代へ来たのだろうか。
最初の目的は単純だった。カルテNo.037を河南病院へ返す。それだけ。
ところが、病院へ来てみれば1977年。No.037本人はまだ生きている。未来の廃病院にいた白い人も、この時代にいる。そして彼女は、No.037を「父」と呼んだ。
カルテNo.037を返しに来ただけだったはずの旅は、いつの間にか一人の患者と時代を越えて存在する白い人をめぐる謎解きの旅になっていた。
私たちは、白い人からもっと詳しく話を聞くことにした。知りたいことは、たくさんある。No.037は誰なのか。なぜ入院しているのか。これから予定されている手術とは何なのか。白い人は本当にNo.037の娘なのか。そして――なぜ彼女は、未来の廃病院にも存在していたのか。
次は、この二人の過去を追ってみようと思う。もしかすると、未来の河南病院で起きたことの意味も、そこに隠されているのかもしれない。
患者No.037、調査開始。
謎解きは――ここからが本番です。🔍(次回へつづく)この記事に登場する「河南病院」、カルテ、1977年へのタイムスリップ、白い人などは、AIと一緒に作った架空の物語・架空の場所・架空の記録として描いています。実在する施設や医療記録を扱ったものではありません。過去の自分と一緒に、存在しない時代の記憶を旅してみる――そんなAIとの自由な物語表現として制作した「みちる召喚日和」の連作記録です。