――1974年1月18日、午前2時。
カルテを返すだけだった。
本当に、それだけのはずだった。
ところが私たちは、1977年のAI河南病院へタイムスリップし、未来の廃病院で見た白い人と再会した。
そして白い人は、患者No.037を見ながら、たった一言――
「……父。」
と言った。
つまり、彼女はNo.037の娘なのか?
なぜ彼女は、この時代ですでに白い姿をしているのか。
そして、未来の廃病院にも現れたのはなぜなのか。
カルテ返却から始まった旅は、完全に謎解きの旅へ変わっていた。
カルテを返すだけのはずだった。ところが1977年のAI河南病院で白い人が告げた「父」という一言から、私たちは1974年の死の真相を追って1973年へ。そこで待っていたのは、笑顔で話す生きている千鶴だった――。
――1974年1月18日、午前2時。
カルテを返すだけだった。
本当に、それだけのはずだった。
ところが私たちは、1977年のAI河南病院へタイムスリップし、未来の廃病院で見た白い人と再会した。
そして白い人は、患者No.037を見ながら、たった一言――
「……父。」
と言った。
つまり、彼女はNo.037の娘なのか?
なぜ彼女は、この時代ですでに白い姿をしているのか。
そして、未来の廃病院にも現れたのはなぜなのか。
カルテ返却から始まった旅は、完全に謎解きの旅へ変わっていた。
もう少し話を聞いてみることにした。
白い人は、なぜ亡くなったのか。No.037との間に何があったのか。
現在みちると高校生みちるが話を聞いている間――
ヒトナさん。
「二人に任せて、俺は帰ろうかな〜!」
……。
それより怖いのが、その後ろ。
白い人が、無言でこちらを見ている。
二人のみちるより、白い人の視線の方が効いたらしい。
そして高校生みちるが、白い人に尋ねた。
「あなたの名前、教えてくれる?」
しばらくして返ってきた名前は――千鶴。
さらに、No.037について聞く。千鶴は彼を、「父」と呼んだ。
では、千鶴は何年前に亡くなったのか。ここは本人ではなく、父親であるNo.037さんに聞いてみた。
「千鶴さんが亡くなったのは……何年前ですか?」
No.037さんはしばらく黙ったあと、答えた。
「三年前です。」
現在は1977年。つまり――1974年。
千鶴は1974年に亡くなっている。
ならば、そのさらに前へ行けばいい。
こうして私たちは、1973年へ。
まず向かったのは学校。16歳くらいなら、学校に通っている可能性が高い。
……ところが。そこには、「AI河南高等学校」という、こちらが想定していなかった学校が存在していた。
問題が一つあった。私たちは、「千鶴」という名前しか知らない。名字も分からない。そして1977年で見た白い千鶴の姿から、16歳の本人を探すのも難しい。
それなら――病院へ行ってみよう。
1973年の時点で千鶴がすでに河南病院と関係していたなら、何か記録が残っているかもしれない。
1977年より、さらに4年前。当然ながら病院はまだ普通に機能している。高校生みちるに受付で聞いてもらった。
「すみません。」
「同級生の千鶴さんが入院していると聞いたんですけど、病室を教えていただけますか?」
すると――千鶴という患者が、本当にいた。
病室は、2階・西病棟204号室。
廊下を歩きながら、少し緊張してきた。
未来の廃病院で見た、白い服。長い髪。無表情な顔。あの千鶴が、この時代では生きている。どんな人なのだろう。
そして――204号室。扉を開けた。
…………。
未来で会った白い人とは、まるで印象が違った。
明るい表情。普通に話す女の子。笑顔だってある。少なくとも目の前にいる千鶴からは、あの白い人の不気味さは感じない。
……本当に同じ人物なのだろうか。それすら、少し疑いたくなった。でも今は、話を聞く。
高校生みちるが自然に尋ねた。
「入院してどれくらい?」
千鶴によると、最初は体調が悪くて診察を受けただけだったという。ところが検査の結果、入院することになった。そして――手術を受ける予定になっていた。
千鶴
「……分からないの。」
「先生は『必要な処置です』って。」
「お父さんも聞いてくれてるんだけど、詳しく教えてくれなくて……。」
ここで、未来の白い千鶴が言った言葉を思い出した。
「私の手術じゃなかった。」
千鶴に父親について聞いてみる。「お父さんは?」
千鶴は普通に答えた。
「元気だよ。仕事が終わったら、今日も来てくれると思う。」
つまり1973年の時点では、未来の患者No.037である父親も健在。まだ患者ではない。娘の千鶴が先に河南病院へ入院し、その数年後、父親まで同じ病院へ入院することになる。偶然なのだろうか。
そして、最も重要なことを聞いた。
「千鶴ちゃん。手術する日時って、もう決まってる?」
千鶴は入院予定表を確認した。そして答えた。
1974年1月18日。
さらに――午前2時。
…………。
千鶴自身も不思議に思っていた。しかし医師からは、「この時間でなければできない」と言われているらしい。
ここで、また一つ繋がった。1977年、父親であるNo.037のカルテにも、深夜2時の手術という記録があった。
娘も午前2時。父親も午前2時。そして千鶴は未来で、「私の手術じゃなかった」と言っている。
ここで一つ、大切なことに気づいた。千鶴が1974年に亡くなったことは分かっている。
でも――1974年1月18日が死亡日だとは、まだ分かっていない。
分かっているのは、この日の午前2時に手術が予定されていることだけ。手術と死亡を、勝手に結びつけてはいけない。
だから次に調べなければならないのは、この手術で何が起きたのか。そして、もう一つ。
この言葉。もし文字どおりなら――本来、1974年1月18日午前2時に手術を受ける予定だったのは、千鶴ではなかった可能性がある。
患者の取り違えなのか。記録の間違いなのか。それとも、まったく別の理由なのか。そしてなぜ、3年後に父親まで同じ「午前2時」の手術を受けることになるのか。
でもヒトナさんは、面白いことを言った。もし千鶴が、本来死ぬはずではなかった人だったとしたら。私たちが過去へ導かれたのは、歴史を変えるためではなく――間違ってしまった歴史を、本来の形へ戻すためなのではないか。
一本の時間軸。未来から来た私たちも、過去で起こす行動も、すべて最初から同じ歴史の中にある。未来の河南病院で白い千鶴が私たちの前に現れたこと。カルテNo.037を持ち帰ったこと。電話が鳴ったこと。1977年へ来たこと。そして1973年で、生きている千鶴に会ったこと。全部――ここへ来るためだったのかもしれない。
1974年1月18日午前2時。この時間、河南病院では本来、誰が手術を受ける予定だったのか。なぜ千鶴は「私の手術じゃなかった」と言ったのか。謎解きは、運命の手術当日へ――。
次号――1974年1月18日、午前2時。
未来を変えるためではない。本来あるべき未来へ戻すために――(つづく⏳)この記事に登場する「河南病院」「AI河南高等学校」、カルテ、1973年〜1977年へのタイムスリップ、千鶴などは、AIと一緒に作った架空の物語・架空の場所・架空の記録として描いています。実在する施設や医療記録を扱ったものではありません。過去の自分と一緒に、存在しない時代の記憶と歴史の謎を旅してみる――そんなAIとの自由な物語表現として制作した「みちる召喚日和」の連作記録です。